耳掃除と耳垢栓塞
外耳道をふさぐ耳垢栓塞
ついつい暇なときとか、耳がかゆい時にやってしまう耳掃除。公園のベンチや居間のソファーで膝枕して彼女から「耳掃除してあげようか?」なんて言われたら至福の喜びさえ感じてしまうほどですが、実はやり過ぎると耳垢栓塞になるそうです。耳垢栓塞と言うのは、耳垢で外耳道が塞がってしまうことです。耳掃除をしていない人よりも、まめに耳掃除をする人の方が耳垢栓塞になり易いそうです。耳掃除をするのに外耳が詰まる、というのは不思議な気がしますが、耳垢は掃除しなくても自然と排出されるんです。
耳垢栓塞の症状
耳垢栓塞になると、次の様な症状が出る場合が有ります。
- 耳が聞こえにくくなる
- 耳が詰まったような感覚になる
- 耳痛
- 耳鳴、ジーっという音、または他の妙な音がする
- 平衡感覚の異常が起こる
アメリカ耳鼻咽喉科頭頸部外科学会からの注意
欧米では、耳掃除は「やってはいけない禁断の快楽」だそうです。それでもついやってしまうのが耳掃除ですが、アメリカ耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が耳ケアの新ガイドラインを発表し、 耳掃除をやり過ぎると「耳垢栓塞」になると注意を呼びかけました。
耳垢は、耳の中を適度に湿らせて、細菌や埃などから内耳を守るのに必要で、ある程度の耳垢があるのが当たり前だそうです。しかも、耳垢は耳掃除をしなくても耳から自然と外に出るため詰まることが無いそうです。しかし、間違った方法で耳掃除を頻繁にすると、返って耳垢を耳の奥の方へ押し込むことが有ります。自然と耳垢を外に出す自浄作用があるにも拘らず、余計なことして自浄のサイクルを断つと逆に耳垢がたまって聞こえにくくなる症状が出る様で、その様な症状に悩まされている人は子どもの約10%、成人の約5%にのぼるそうです。
アメリカ耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、耳垢栓塞の最新データとあわせて新しいガイドラインの発表に踏み切ったということです。
ガイドラインの要旨
アメリカ耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の新ガイドラインの要旨は次の通りです。
- 耳掃除の過度のやり過ぎには行わない。
- 綿棒等の細いものを外耳に入れない。
- 痛み、難聴及び耳が詰まる症状があるときは、専門医に診察してもらう。
- 本来は耳掃除は不要であり、耳垢が出来やすい体質の人は正しい手入れ方法について、医師に相談すること。
- イヤーキャンドルによる耳掃除は絶対やらない。耳掃除の効果はないだけでなく、外耳道と鼓膜を損傷することがある。
耳垢栓塞の治療
耳垢栓塞の治療は家庭でもすることが出来ますが、悪化させたり、炎症を起こしたり、また、別な病気である可能性が有りますので、素人判断はせずに専門医の治療を受けることをお勧めいたします。