革新的がん治療法への期待―近赤外光線免疫療法

近赤外光線免疫治療法という新しいがん治療法

 

「近赤外光線」とは

人体に負担の少ない新しいがん治療法の開発に期待と注目が集まっています。電磁波の中で人体に害の無い近赤外線をがん細胞に照射して消滅させる「近赤外光線免疫療法」(光免疫療法)と呼ばれる新しい治療法です。近赤外線は、家庭用テレビのリモコン、バーコードリーダーや携帯電話にも使われている可視光線に一番近い赤外線です。

「近赤外光線免疫治療法」の治療期間は2日

治療に要する期間は、僅かに2日で、がん細胞を短時間に消滅させ、しかも転移した癌も治すという画期的な方法です。現在では、「転移があります」と通告されれば略完治は無理で最後通告も同然ですが、転移癌まで治療出来ればがんに対する恐怖や不安は無くなるかもしれません。

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「近赤外光線免疫治療法」の方法

治療法は、がん細胞だけにくっつく性質を持つ抗体を利用します。この抗体に、近赤外線で化学反応を起こすIR700という色素を付け、静脈点滴で体内に注入します。抗体はがん細胞に届くと結合するので、結合した状態で近赤外線の光を照射すると、光化学反応が起こり癌がん細胞が破壊されるという仕組みです。

具体的には、治療に使う近赤外線は波長がもっとも短く可視光線に一番近いエネルギーの高い赤外線が使われます。IR700はフタロシアニンという色素で、波長700nmの近赤外線を吸収する性質を持っています。がん細胞にくっついたIR700が遠赤外線のエネルギーで起きた化学反応でがん細胞の膜の表面が傷つき風船のように破裂します。光の照射から破裂までに要する時間は、「光の量」と「がん細胞の傷の量」によって違うものの、1万個の傷が付いたがん細胞なら1~2分という極めて短い時間で、ゆっくりなものでも5~10分ほどで破裂します。

革新的がん治療法といわれる所以

スムーズにがん細胞を破壊

破裂するのは傷の付いたがん細胞だけで正常な細胞は損傷等の影響は受けないそうです。この様子は、顕微鏡でも確認が出来、近赤外線の照射され傷ついたがん細胞だけが風船がはじけるようにポンポンと破裂していく感じだそうです。破裂したがん細胞のゴミは、免疫細胞が捕食します。

また、この方法を用いて、免疫細胞の攻撃からがん細胞を守っている「制御性T細胞」を叩くことにも成功しています。「制御性T細胞」が破壊されると免疫細胞が一層活性化されがん細胞を死滅させることも発見されています。

この光免疫療法は、体の表面に近い皮膚がんだけでなく、肝臓がんや大腸がんといった体の内部に発生したがんなどあらゆるがんに対応できます。

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短い治療期間と身体への負担の軽減

治療に要する期間は、2日程度でスケジュールとしては、1日目に点滴で抗体を体内に注入し、2日目に色素が結合した患部のがん細胞に近赤外線を照射するだけです。時間も、3センチ以内のがん細胞で6~7分程の照射時間で済み、比較的大きながん細胞でも2時間程度で終わるといいます。

安い治療費

治療費も大きな設備は必要なく、使用する薬品や近赤外線装置も廉価で入院期間も短いことから今までの治療に比べたら医療費負担は相当軽減されるようです。

今までの癌治療法との違い

過去の外科治療は長期入院と身体への負担が大きい

今までのがん治療は、「がん細胞切除する外科手術」「放射線によるがん細胞破壊療法」「抗がん剤による化学療法」の3つでしたか、いずれも長期の入院や通院が必要で、さらに外科手術は身体への負担が大きく、残る2つは副作用が苦痛を伴い、「放射線治療」は、正常な細胞まで照射して破壊するので各部炎症、食欲不振、嘔吐、下痢や出血等の副作用が長期に渡り継続することがあります。「抗がん剤治療」の副作用は吐き気、脱毛、白血球の減少の他、貧血や深刻な感染症、出血を起こし、頭を上げることも出来ない程の苦しみで、人によっては「治療よりも楽になりたい」という声さえ聞かれます。

「近赤外光線免疫療法」は、(既に臨床段階に入り、実用化まで僅か数年ということで、夢のようながん治療が実現し、人類ががんを制圧する日が近いかもしれません。