目次

簡単な破産の説明

法人の倒産手続きの一つである破産手続について簡単に分かり易く説明いたします。

破産とは

破産とは、国の機関である裁判所を通じて清算する手続で、具体的には裁判所によって選任された破産管財人という立場の弁護士が,破産者の資産や負債等の財産を調査し、管理・換価処分して得られた金銭を債権者に弁済、配当するという手続です。

法人が破産すると,その法人の資産・財産はすべて処分・清算されて,その法人は消滅し,負債・債務も消滅します。しかし、法人資産と代表者等の個人資産は全く別物ですので、代表者等が債務保証していたり、重大な過失があって損害賠償されたり、倒産前に財産を隠匿していることが無い限り処分されることはありません。

「秒速で1憶円稼ぐ」と言われたネット界の風雲児与澤翼(本名:與澤翼)が経営していたEs Luxoure株式会社は平成23年に破産し、本人もメルマガで金が全くないと言っていましたが、実際はシンガポールに移住し豪華な生活を送っています。マンション等の資産も有し、本人のメルマガでは今でもアィリエイトの収入があると記載しています。
また、「てるみくらぶ」も多額の役員報酬を支払っていたと報じられていますので、法人としては破産しても、役員クラスは、相当額の資産を有している可能性が有ります。

ネットビジネスの成功者に、破産してゼロから立ち直ったとよく書かれていますが、実際は破産手続きの抜け道を悪用して、次の事業の立ち上げ資金は確保していた可能性が有ります。

破産申立の方法

破産申立は、債権者が破産の申立を行う場合と、当事者が破産手続きを行う場合が有ります。債権者が破産申立を行う場合は「債権者破産申立」、当事者が破産の申立を行う場合は「自己破産申立」と言い、圧倒的に自己破産申立が多くなっています。

自己破産は自分でバンザイする方法ですから、予め資産の隠蔽等が出来ます。一方、債権者破産は、何とか頑張ろうとしていても、いきなり鉄砲で撃たれるようなものですから財産の隠蔽は難しくなります。

また、個人の破産手続きと法人の破産手続きは流れが違ってきます。個人の場合は、破産決定と同時に破産手続が終了する同時廃止という制度が幅広く利用されています。同時廃止になっても免責手続きは進行いたします。免責手続きとは、債務を全てチャラにすることです。また、破産決定がなされると本籍地の破産者名簿に記載されるのですが、同時廃止の場合は名簿に記載されることも有りません。

また、破産決定と免責決定は官報に記載されます。以前は、月に数回しか発行されていませんでしたが、現在は毎日発行されています。官報は政府が発行する機関誌です。官報販売所といわれる書店や新聞販売店等で販売されている他、図書館及び最近ではネットでも閲覧することが出来ます。

今回のエタラビについては、破産管財人のホームページに状況が記載されていますので、官報で確認する必要は無いと思われます。

スポンサードサーチ


法人の破産手続きの流れ

破産フロー図

※1 破産の申立て

破産の申立手続をすることにより、破産手続きが開始されます。申立は会社の所在地を管轄する地方裁判所で専属管轄になります。(東京地裁は全国の会社の破産を受理することが出来ます)

※2 債務者審尋

破産者に対して、破産に至る経緯や資産や負債の状況を確認する目的で裁判官が行うヒアリングです。最近では、特別な場合を除いて、審尋をせずに破産手続開始の決定がされることもあります。

※3 保全処分等

申立てから開始決定までの間、債務者の財産が散逸することを防止するため裁判所は債務者の財産に対して保全処分を出すことがあります。規模の大きい法人や資産が多い場合及び問題行動が生じている場合などに発せられます。

※4 破産手続きの開始決定(破産管財人の選任)

破産手続の開始が決定されると、会社は解散し、同時に破産管財人が選任されます。破産管財人は弁護士の中から選任されますが、破産申立した弁護士が管財人になることはありません。

※5-1 破産債権の届出

破産者に債権を有する者(債権者)は、破産管財人により定められた期間内に、破産債権の届出をする必要があります。債権届出書は、裁判所から送られてきます。届出された破産債権は、破産管財人が調査集計した後破産債権として確定されます。

※5-2 破産財団の資産調査・管理

破産者の一団の財産を破産財団といいます。債権の確定手続と並行して、破産財団に組み入れることの出来る財産の調査を行うとともに、破産財団に組み入れられた資産の管理を行います。破産管財人は、場合によっては損害賠償請求などを行なったり、隠匿した財産を取り戻したりします。そうすることで、破産財団の資産が増え、配当の増額に繋がります。

※6 中間配当

実例は極めて少ないですが、破産管財人の裁量によっては、破産財団から随時債権者に配当を行う場合があります。配当が長い間ないよりは、少しでも早く配当を受けたい債権者が多いからです。

※7 最後配当

破産財団の現金化がすべて終ったら、届出をした破産債権者に対して配当が行われます。しかし、破産債権に優先する財団債権と優先的破産債権が先に支払われ、残った分が平等に配当されます。
財団債権は、裁判所の費用、破産管財人への報酬、租税債権、3ヶ月以内の従業員の給与です。優先的破産債権は、共益費用、マンション管理費、財団債権に含まれなかった雇用関係費用、1年以上滞納している税金などです。

※8 破産手続終結の決定

最後配当が行われ、債権者からの異議申立期間を経過すれば破産手続終結が決定されます。この決定で、会社は消滅します。

※9 申立ての棄却

破産原因が認められない、予納金を納めない、申立が不正目的の場合等は、申立が棄却されます。

※10 異時廃止

破産手続の決定後、破産財団をでは破産手続の費用が支払いできないとなった場合には、破産手続廃止の決定がされます。当然、手続費用も捻出出来ない状況ですから、債権者に配当がないまま事件は終結します。

 

スポンサードサーチ