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大学誘致自治体の多額の補助金

補助金の画像加計学園及び順正学園に対する補助金支出の状況

安倍総理の腹心の友である加計孝太郎氏が運営する学校法人加計学園及び加計孝太郎氏の親族が運営する学校法人順正学園に対する巨額の補助金問題及び不透明な加計学園グループの大学誘致が問題になっております。そこで、加計学園グループが運営する大学への補助金の金額、補助金決定のプロセス及び誘致の経緯を議会議事録を元に調べたところ、極めて不自然な実態が浮かび上がってきました。

最近の新設大学は補助金を受領していないのが多いのに対して、突出して補助を受けています。直近3年間で新設された、北海道千歳リハビリテーション大学、岩手保健医療大学、長野保健医療大学、福井医療大学、国際医療福祉大学他の大学の補助金を市議会の議事録を基に調べたところ、国際医療福祉大学(成田市)が50億円の補助金を受けているものの、他の大学は補助金を受領していないか、もしくは数百万円から1千万円台の補助金で億を超える補助金を受けているところは、議事録からは確認されませんでした。

誘致市議会の質疑不足と補助金ありきの自治体

加計学園グループについては、100億円以上の補助金を交付しているにも関わらず、議会での質疑が数回しかなく、どのようなプロセスから補助金が決められたのか分からなかったり、議員が総事業費を把握していない自治体もあります。中には、委員会や定例会等で、100回以上に及ぶ質疑を行っている自治体も有りますが、全体としては小中学校のホームルームレベルで、高額補助金がいとも簡単に決まるのに呆れるほどです。因みに問題の岡山理科大学獣医学部の誘致が決定している今治市は数回の質疑で、資料等も非公開にしているものがあり、極めて不透明です。

また、全体として市長が率先して推進している傾向にありますが、市長に持ち込まれた経路は不透明であり、ここに政党本部や政府からの指示があるのかもしれません。今治市、銚子市、延岡市、倉敷市が顕著に表れておりますが、唯一南あわじ市市については市長の意図・動きが把握できませんでした。

杜撰な補助金の根拠~総事業費・事業計画書も不詳~

誘致自治体が事業計画に疎く、総事業費等の実態を全く把握していないケースが目立ちます。ほとんどではなく全くのレベルです。その一因が、加計学園グループが事業計画書を提示していなかったり、補助金要望書に添付していると記載されているものの議員に開示されていないことが挙げられます。質問する議員から、「総事業費はいくらなのか。事業計画書はないのか」、「非常に金額が高い」といら立ちを訴える質問もあります。また、補助金ありきで進められた可能性もあります。

勘ぐれば、自己資金が計画通り有ったのか、水増しされた事業計画ではないのか等非常に疑問です。また、施工業者に岡山の業者を使っていて、誘致元業者が恩恵を受けていないとの指摘も有りますが、懇意にしている業者を使うことで建設費の上乗せをしている可能性も有ります。因みに、加計学園グループの建築坪単価は、150万円と言われており一般的な単価の倍以上と言われ極めて高額です。

議事録の中で、総事業費及び補助金の金額が変わっている自治体もあり、どの時点で金額が変更になったのかの経緯が分からなかったり、杜撰な予算編成が窺われます。

与党の議員の質問が市長の大学誘致の功績に言及しているのに対して、野党の質問は率直な疑問を追及しています。とりわけ、共産党から鋭い質問が出されていますが、共産党もたまには役に立つのだなぁ、という感じですね。

補助金で市の財政破綻の危険性が発生

加計学園グループの大学誘致をきっかけとして、財政破綻自治体に転落が危惧される自治体が有ります。まず、最も危惧されるのが銚子市です。誘致した元市長は地方自治の要の省庁である自治省の出身ですが、積立金を取り崩し、起債して年間4億5000万円の支払いが発生し増収見込の2億円の税収をはるかに超えている他、同時に大学誘致に伴う財政負担を補填するため公共料金を大幅に引き上げ市民に負担を強いるという、とんでもない愚策を行っています。しかも、市立病院が閉鎖されるなど危機的状況にも拘わらず大学誘致に舵を切るなど本末転倒といいますか、民間企業であれば背任罪に問われかねない愚政です。
また、銚子市の基幹産業は、農業と漁業ですが、これだけ負担が増えれば一次産業従事者を除いて近隣市に転出することも十分考えられ、人口減少に拍車がかかり当初2040年に人口が4万人になる予定が30年にも4万人を切るかもしれません。銚子市民としては元市長が加計学園から特別の便宜供与を受けていないか位は調べるべきでしょう。

その他にも、今治市、延岡市及び南あわじ市はいずれ負担が重く圧し掛かってくるものと思われ、財政破綻自治体に転落の可能性も十分に考えられます。

いずれの市も自分には関係ないと思わないでください。これらの市には、地方交付金として私たちの税金が流れているんです。

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安倍総理の直接的関与は議事録からは判明せず

なお、安倍総理の直接的な関与が認められたわけでは有りませんが、政治家は存在自体が忖度そのものです。他の新設大学がほとんど補助金を受けていないのに対して、加計学園グループだけが1大学当たり100億円(吉備国際大学だけは33億円強)程度の補助金を受けるのは、極めて不自然であり、補助金ビジネスを熟知した者が指南を行ったというのは疑いようがありません。

極めて親しい友人ならば、自分の職業と関係するところで不正をしていたら、「そういったことは不正になるからやめた方がいいよ」と助言するものです。岡山理科大学獣医学部新設の問題は、今治市長が追いつめられるとすぐに、安倍総理の名前を出していたことからも、十分に知り得た立場だったのは間違いないでしょう。

加計グループに対する補助金の概要

以下便宜上、学校法人加計学園と学校法人順正学園(旧高梁学園)を加計グループと呼び、学校法人加計学園傘下の大学を加計学園グループ、学校法人順正学園傘下の大学を順正学園グループとして分類します。

各市議会議事録を基にした、個別の補助金の受給内容・経緯は次の通りです。

加計グループ全体の補助合計

  • 現金     418億2,800万円
  • 資産譲渡    56億8,800万円(他に、金額不明分及び譲渡か貸与か判明しない提供とされているものがある)
  • その他    土地等無償貸与

別途、私学助成金として、判明しているだけで平成17年度以降230億4,400万円が支払われています。順正学園については、3年分しか確認できませんでしたので、さらに数10億円が加算されるものと思われます。

学校法人加計学園への補助合計

  • 補助金合計  288億1,500万円
    但し、14億6000万円返納の議事録があるもののメディアでは市議が返納を否定しています。
  •  資産譲渡   36億7,500万円(今治市 土地)
  • 無償貸与   土地  9.8ha(銚子市)
  • その他    土地  造成済用地提供(倉敷市)
    評価額及び譲渡か貸与かは不明です。  

学校法人順正学園への補助の合計

  • 補助金合計  130億1,300万円
    延岡市の用地造成費用を含みます。
  • 資産譲渡   20億円(南あわじ市 建物)
  • 無償貸与   土地  5.5ha(南あわじ市)
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各大学別補助金詳細

岡山理科大学獣医学部

  • 主管自治体 愛媛県今治市
  • 総事業費  192億円(当初 243億5,000万円)
  • 補助金   96億円
    内訳  今治市負担金 64億円(内40億円は合併振興基金を財源とする)
        毎年10億円6年間 7年目4億円(予定)
         愛媛県負担金 32億円(未調整)
  • 譲渡不動産   土地 16.8ヘクタール 36億7,500万円相当
    解除条件付無償譲渡 現状有姿 担保設定承認予定(実質的な今治市の物上保証に該当し解除条件の意味は無い)
    解除条件:岡山理科大学獣医学部大学用地としてのみ利用
  • 特記
     132億7500万円は、今治市の年間予算のうち自主財源の44%程度、交付金等の依存財源を含めた予算総額の17%にも匹敵する莫大な金額です。
  • 経緯
    不明ながら、従前より岡山理科大学獣医学部の誘致を文科省に陳情しており、特に市長が積極的に活動。但し、最近の資料や市長の発言を時系列で確認すると、発表や決定前に作業が行われたり、決定を仄めかす発言が確認されます。
  •  問題点
    H17.3.3時点での市議会議事録では、愛媛県が補助金を支出するかどうかも分からない状況で、岡山理科大学の誘致を決定するなどのちぐはぐな状況です。しかも、市議会議員が内容をほとんど把握しておらず、議事録からは、未だほとんど議論がなされておりません。上意下達で進行している様子が窺われます。
  • 教職員
    当初70名(その後追加で72名)の教授等の陣容は、70歳以上もしくは大学院を出たばかりの若年者で最先端研究者が乏しく先端獣医学部としては陣容に問題があるとの指摘があります。

千葉科学大学

  • 主管自治体 千葉県銚子市
  • 総事業費  不明(H16.3.11大藤議員)その他メディアで150億円との報道有り
          165億円(延岡市議会議事録)
  • 補助金   92億1,500万円

内訳  銚子市負担金 92億1,500万円
      平成15年度15億1,500万円、平成16年度40億円、平成17年度37億円
但し、H16年5月24日に15年度の補助金14億1,500万円及び利息の返納が有ったと議事録に記載されるも、別な議員は14億6,000万円の返納が決まったものの返納が無いと週刊朝日の取材に答えており、いずれが正しいか不明。
    千葉県負担金 無し(銚子市としては45億円の補助金を見込むも補助なし)

  • 譲渡不動産  大学用地12.2haのうち9.8haは市有地の無償貸与であり、賃貸借契約を締結した場合の賃料相当額は贈与されたも同然ですが、賃料相場については不明です。
  • 特記 
    補助金の他に、追加助成はしないと言いながら別途学生向け支援事業を行っています。
    ・地元入学生への10万円の入学金の補助
    ・住民登録した学生への1万円の商品券譲渡
    ・学生用アパートに固定資産税相当分を補助  
  • 問題点
    財源は、財政調整基金(貯金)、起債(借入金)そして市税である会計予算です。
    返済財源は、市民が支払う使用料、手数料、負担金などの値上げで具体的には、高校の授業料と幼稚園の保育料の値上げ。これまで無料だったごみ処理手数料の有料化に伴いごみ指定袋が、1組80円から300円に3.7倍も値上げ。これまで無料だった粗大ごみや家庭ごみの清掃センター持ち込みを有料。学童保育の保育料も新たに有料化され、月7,000円に値上げ。国民健康保険料を平均18%値上げし、1世帯当たり平均年額3万1,000円もの大幅な値上げも行っています。その後、市職員の給与の引き下げ等末期的状況です。財政再生自治体の夕張市は、着々と良い方向に進んでいますが、銚子市は千葉、東京が近いこともあって、いずれ大量の人口流出を招き市の存続自体が危うい状況になるのは略確実と思われます。
  • 仙台育英高校が進学先の決まっている生徒を、4月に開学する提携先の千葉科学大学の一般入試に受験料を肩がわりして大量受験させて倍率を不当に押し上げる等の人気校に見せかけるサクラ行為を行ったとする問題がありました。(読売新聞、産経新聞、河北新報)
  • 野平元市長は、元岡山理科大学の客員教授であり、利益相反事項に該当はしなくても利害関係先への補助金支出と疑われてもやむを得ません。野平元市長は千葉科学大学副学長の椅子を狙っていたとの噂も有りました。
  • 千葉科学大学は、東京都に近いこともあって、多くの安倍ファミリーが学長から教授までの職位についています。岡山理科大学の教授等に就任すれば、生活の本拠地を動かさざるを得ませんが、千葉県ですとその必要がないことから、千葉科学大学に多く在籍したり、していたと考えられます。 

吉備国際大学農学部

  • 主管自治体 兵庫県南あわじ市
  • 総事業費  20億円程度
    但し、総事業費の半分以上は、無償譲渡する旧志知高校の建物の耐震補強及び新設工事費
  • 補助金   13億3300万円
     内訳   南あわじ市負担金 13億3300万円
            環境整備補助金 8億3300万円
            大学誘致奨励金 5億円
          兵庫県負担金 不明
  • 無償貸与不動産  約5.5ヘクタールの土地で、評価額 約10億円
  • 無償譲渡不動産  旧志知高校の建物 評価額 20億円
  • 無償譲渡動産   設備・植栽等 金額不詳(建物に含む)
  • 特記    
     住民票を移しただけで学生1人当たり30万円まで補助金を支出
  • 経緯  不詳  
  • 問題点
    工事内容について資料の開示請求をしても、出てこないばかりか、補助金を出しているにも関わらず、明細も公開されていないということです。
    南あわじ市は、イオンの出店により地元商店街が壊滅状態に陥っており、買物難民の問題も有ります。しかも、納税者は農業従事者が多いことから、税金は納税者に還元すべきで大学誘致の意味が理解できません。学生が来ても、土・日は神戸や徳島に出かけるのではないかと思われ地元に消費資金が落ちるとは思われません。

倉敷芸術科学大学

  • 主管自治体 岡山県倉敷市
  • 総事業費  154億3,582万6,000円
  • 補助金   100億円?
      内訳  倉敷市負担金 100億円(H6.3.18、H7.3.7の質疑・応答)
                  又は、50億円(H7.6.16の質疑・応答)
    質疑の中で出資との表現も有ったり、50億円とは別か出資金50円億を含むものかも不明ですが、補助金50億円及び造成済土地50億円とも解釈されますが詳細不明です。
          岡山県負担金 不明
  • 不動産 
    造成済土地の提供とのみ記載されており、無償譲渡なのか無償貸与なのかは議事録からは不明。平成4年12月に議決された模様ですが記録が無く検索できません。  
  • 問題点
    共産党市議が大学誘致に賛成ながらも、倉敷芸術科学大学の誘致は、秘密裏に進められた秘密行政の最たるものであり、今回計上されている20億円(年度補助金)についても、加計学園の資金計画や資産について要求した資料は示されていない、と不満を述べています。
    事業計画書、工事契約書等は、補助金交付申請書に添付してあり、精査している旨の答弁が有りますが、市議会に公開されているかは不明、むしろ議事録からは非公開と受け止められます。
    岡山県知事が大学設置に積極的との印象が強く残り、知事と市長の二人三脚で進めたのでしょうか? 何故?

九州保健福祉大学

  • 主管自治体 宮崎県延岡市
  • 総事業費  114億円
    但し平成14年度までの経常経費込みでは156億円との数値が有る他、111億円の議事録も有り、正確な金額は不明です。
  • 追加事業(薬学部設置) 41億円
    追加事業(生命医科学部新設時)  15億3,430万円
    当初30億円で学園側は文科省の規定により10億円しか拠出出来ないため20億円の補助金要請の質疑の議事録が有ります。結果的に、何故41億円になったのかは不明です。
  • 補助金   大学新設時  96億8000万円
          薬学部設置時 20億円
          生命医科学部新設時 7億円
           内5,000万円は、宮崎県北部広域行政事務組合からの寄付
        内訳  延岡市負担金 96億8000万円(実質負担金61億4000万円)
          用地造成費16億9000万円を含みます。
          薬学部設置の追加補助 20億円
           市民による20億円の補助金返還ならび財政支援差し止め請求訴訟提起
           宮崎県負担金及び寄付金は延岡市負担金に含まれます
           宮崎県負担金 35億円
            寄付金     1千万円宮崎県北部広域行政事務組合
                  15億円 民間企業寄付金
  •  特記    
    起債 40億6000万円 (15年償還で最高時償還額は4億2000万円です。)    
    開学以降の補助金要請は、7億円、22億円、5億円、1憶円、5億円の計5回に渡るものの、補助したとの議事録は確認できていません。補助していれば、40億円が別途支払われたことになりますが、市議の発言の中に「120億円の補助金云々」の表現が有りますので補助されていないものと思われます。延岡市には、打出の小槌があるように勘違いでもしている補助金要請です。
  • 経緯 
    市長が率先して誘致に関与している他、市長が学校法人順正学園の理事に就任しているとの記録がありますが、確認できていません。 
  • 問題点
     ■薬学部設置については、市長選の3日後に要望書が出され、1ヶ月で補助金を決定する等の市長選前の公表を控える等の不自然さが指摘されています。大学の 財務状況については非開示です。
     ■薬学部設置に掛かる補助金20億円については、市民から行政訴訟を提起されています。
     ■延岡市は旭化成の企業城下町で、住民の6割が旭化成と何らかのつながりが有ると言われており、スーパーさえも最も大きかったのは「旭(化成)サービス」という旭化成グループでしたが、工場の一部閉鎖及び市内唯一の百貨店が倒産するなど斜陽化しています。また、以前は陸の孤島ともいわれ、観光資源も高千穂線の廃線で高千穂峡へのアクセスが悪化しており、魅力に乏しく学生を集めるのは難しい地域です。
     ■平成26年6月12日の企画部長の答弁は、「大学開設費と薬学部開設時のときの補助金、それから学術学会、全国的な学術学会も行われておりますが、そういう場合の開催支援の補助金、さらに、延岡市の高校生、留学生に対する入学奨励金、それから全入学者に対する入学記念品、合計いたしまして約100億7,200万円となっております。 」と答えています。どう考えても金額が合いません。造成費用を計上していなかったり、実数を把握していない可能性があります。
    税金という市民のお金を無造作に、計画性も無く、無秩序にばら撒いているとしか考えられない状況です。特別な団体は、「お金をこれだけ下さい」と言ったら、いくらでも貰えるものなのですね。

加計グループに対する国の助成金

日本大学及び早稲田大学が年間90億円の助成金を受けているのに比べて、私学助成金としては、特段優遇されているようでは無いようです。但し、全国数百校の大学に補助金をばらまく必要性は有るのでしょうか?
加計学園の様に、開学費用の半分を税金の補助で賄い、運営費も私学助成金を受けるというのが正しい教育行政なのでしょうか。大学に通っていない人が大学に行っている人の学費を税金と言う形で負担するのは、受益者負担の原則にも反するように思われますが・・・。

年度 学校法人加計学園 学校法人順正学園(旧高梁学園) 合計
平成27年度 1,378,688 635,984 2,014,672
平成26年度 1,551,627 815,046 2,366,673
平成25年度 1,784,332 878,776 2,663,108
平成24年度 2,156,830 不明   2,156,830
平成23年度 2370,330 不明   2,370,330
平成22年度 2,125954 不明   2,125,954
平成21年度 2,067,496 不明   2,067,496
平成20年度 1,838,661 不明   1,838,661
平成19年度 1,684,907 不明   1,684,907
平成18年度 2,051,937 不明   2,051,937
平成17年度 1,704,066 不明   1,704,066
合計 20,714,828 2,329,806 23,044,634

単位:千円