目次

夜間頻尿の主な原因

夜間頻尿加齢と夜間頻尿

調子が悪くて病院に行くと、ろくに診察もせずに「加齢ですね!」の一言で終わる病気や症状も多いと聞きますが、「夜間頻尿」もその一つです。夜間頻尿は、尿トラブルの中では、中高年に最も多い症状です。主な原因は、腎臓や利尿ホルモンの機能低下に伴う「夜間多尿」、及び前立腺肥大症や前立腺肥大症を原因とする過活動膀胱によって引き起こされる「機能的膀胱容量の低下」です。

夜間頻尿は、快適な睡眠を中断させられることで、疲れが取れず、日中も体がだるいなどの問題も生じます。夜間頻尿を改善するにはどうすればいいのか改善策を紹介いたします。

スポンサードサーチ

女性に多い失禁

加齢とともにトイレが近くなるのは男性だけでなく、女性も同じです。ただ、女性の場合は、出産や加齢,女性ホルモンの低下等により尿道を締める骨盤底筋が緩み、咳やくしゃみ,重い物を持ち上げたとき,スポーツをしたときなどにお腹に力が入って尿がもれる腹圧性尿失禁が主な症状で40歳以上の女性の3人に1人が経験しているといわれています。治療法としては,骨盤底筋体操や,尿道を引き締める働きがあるβ受容体刺激薬などによる薬物療法があります。

前立腺肥大と頻尿

男性の場合は、前立腺肥大症が原因となることが多く、頻尿に加えて尿が出難くなる排尿障害も同時に起きることが有ります。前立腺肥大症は、膀胱の下にある前立腺が文字通り肥大化する病気で55歳以上の男性のうち5人に1人がかかっているといわれています。

前立腺肥大症の診断・治療方法

前立腺が肥大化しているかどうかは、肛門からの触診(直腸診)で分かります。最初はこの恥ずかしい直腸診が行われ、その他超音波による画像診断、尿流動態検査が行われる場合が有ります。前立腺肥大症の他に尿道に狭窄が認められる場合は内視鏡検査等いくつかの検査が行われます。

前立腺肥大症の治療は、重症で無ければ薬物治療が行われます。薬物治療で十分な効果が得られなければ、内視鏡による経尿道的前立腺核出術が行われます。尿道から内視鏡を挿入し,電気メスで肥大化した前立腺をくり抜く手術でかなり肥大化した前立腺の治療も可能な上,排尿障害の根本治療ができるというメリットがあります。

ところで、尿は尿管を通って膀胱に運ばれ、尿道を通って排出されますが、前立腺はその尿道をぐるりと囲むように膀胱のすぐ下にあって、精子を守る前立腺液を分泌しなから排尿コントロールを行う器官です。この器官が肥大化することで尿道が圧迫されて様々な尿トラブルを発症します。

スポンサードサーチ

夜間頻尿の改善方法

日本大学医学部泌尿器科学分野主任教授の高橋悟医師によると、夜間頻尿を改善するためには、就寝の3~4時間前に夕食を済ませ、ゆっくりお風呂に浸かります。そうすることで、まとまった量の尿が排出され、水圧が掛かることで足のむくみも取れて血行も改善されるそうです。さらに、高橋医師は、足がむくんだまま横になると下半身に溜まった水分が心臓に戻り、腎臓が余分な水分を排出するように活発に働くので、結果として夜中に何度も尿意を催し夜間頻尿に繋がる、とおっしゃっています。

加えて、足を高くして20~30分程度昼寝をしたり、足のむくみやすい夕方にウォーキングやスクワット等の運動を行うのも症状改善のポイントだそうです。

なお、睡眠時無呼吸症候群の人にも夜間頻尿が数多くみられるそうですが、C-PAPという呼吸補助機を使うなどの睡眠を改善する治療を行うと劇的に良くなるそうです。

あくまで改善方法ですので、重篤な病気が隠れている場合も有りますから、まずは専門医療機関を受診されるのをお勧めいたします。

 

出典:夕刊フジ(記事を一部抜粋し加筆修正)