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エタラビ破産と対抗措置

倒産の画像

脱毛エステサロン「エターナルラビリンス(エタラビ)」を運営していた「グロワール・ブリエ東京」の破産申し立てを受け、エタラビで役務の提供を受けていた方々の対応について、現段階で分かる範囲で対処方法を案内いたします。

破産についての簡単な説明はこちらのページで行っています。

クレジットで支払う契約の場合

クレジット契約及びクレジットカードで役務提供サービスであるエステ代金を支払うように契約して、現在支払中の場合は「支払い停止の抗弁権」が主張できます。支払い停止の抗弁権は、販売業者または役務提供業者(今回はグロワール・ブリエ東京)が商品を引き渡さなかったり、違う商品を持ってきたり、あるいは、役務を提供する業者が契約上の役務を提供しなかった場合に、クレジット会社に対して「クレジット会社の加盟店が債務を履行するまで支払いを停止します」という主張ができる権利です。

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クレジット会社を割賦販売斡旋業者と言い、一般に、オートローン等の一回限りのクレジット契約を個品斡旋契約、クレジットカードを総合斡旋契約と呼びます。そして、このクレジット会社の業界を縛る法律が割賦販売法という法律なのですが、この法律の条文によって認められた消費者(業とする商人は除く)の重要な権利の一つが「支払い停止の抗弁権」です。

本来「割賦販売」とはメーカーや販売業者が分割で販売する自社割賦のことをいいますが、法律上は販売者(役務提供含む)に代わって立替払業者が代金を支払う割賦斡旋契約やローン提携販売など全ての信用販売(クレジット契約)を含みます。

支払い停止の抗弁権の要件

支払い停止の抗弁権を主張できる要件は次の通りです。

  • 販売業者及び役務の提供業者に対して抗弁を主張できる理由があること。
    すなわち、今回の場合は「エステの役務が受けられない」という理由です。
  • 総支払額が4万円以上(リボルビング方式は38,000円)であること。
  • 支払い方法が以下の条件であること
    • ローン提携販売は、2か月以上の期間にわたっての3回以上の分割
    • クレジットカートの場合は、2か月以上の期間にわたる支払い
      上記2項目に該当しない契約は法律に定める割賦販売契約とは認められず法の適用外になります。
  • 売買契約が、割賦販売法第三十五条の三の六十に該当しないこと
    営業・事業に関する取引、特商法他の法律で定める契約

手続

購入者はクレジット会社に対抗するためには、代金の支払停止をクレジット会社に申し出る必要が有ります。その際は予め販売業者と交渉を行うよう努力すべきとされていますが、破産の手続きを行っている場合は交渉の余地は略有りません。

クレジット会社は、お客様から支払い停止の抗弁を受けた場合は、直ちに販売者(役務提供業者)へ連絡・購入者へ支払い停止の抗弁に関する申請書類を郵送し、支払請求停止処置などの手続きをとらなければなりません。

調査の結果、抗弁理由の正当性が確認出来たら請求停止、銀行引落し返金をしなければなりません。クレジット会社は十分な調査を行うことなく、請求を継続したり、個人信用情報機関への事故情報登録を行ってはならないと定められています。

今回は、既に「グロワール・ブリエ東京」が破産の申し立てを行っており、個々のクレジット会社の方向性は決まっていると思いますので、クレジット会社に電話した際に「支払い停止の抗弁」に対して、抗弁を認めるか、支払いの継続を求めてくるものと思われます。対応は、クレジット会社によってマチマチですので、対応に納得できなかったら「消費生活センター」や「国民生活センター(コクセン)」に相談して、そちらから連絡して貰った方がスムーズな場合も有ります。

支払い停止の抗弁書は、契約しているクレジット会社に電話すれば、まず請求を止めた後、郵送してくれます。あるいは最寄のクレジット会社の窓口に行けば日本クレジット協会所定の様式が備えて有ります。
クレジット会社とは、信販会社及びクレジットカード会社です。契約しているクレジット会社でなくても用紙だけ貰いに行ってもいいでしょう。

記入方法は及び詳しい「支払い停止の抗弁」説明は、こちらの日本クレジット協会ホームページ確認して下さい。また、支払い停止の抗弁書」のPDFファィルもダウンロード出来ます。

支払い停止の抗弁書送付後の対応(参考)

支払い停止の抗弁書を送付後の問題及び対応について、参考として補足いたします。(H29.6.1追記)
支払い停止の抗弁書を信販会社に送付しても、必ずしも支払いの免除を受けられるとは限りません。サービスの提供を受けられないのに支払いはしないといけないのか、と疑問に思われるかもしれませんが、請求するかしないかは信販会社の判断になります。信販会社によっては、加盟店管理上の責任を認めて請求を行わないところもあるかもしれません。

しかし、信販会社によってはクレジットユーザーの委託を受けて立替払いしたものであって、請求権は存在すると主張し、支払いを求めてくることも考えられます。支払いを求めて来られた場合の対応は次の方法があります。

請求を開始する旨の連絡があった段階で、すぐに弁護士等に依頼して「債務不存在確認請求等訴訟」を提起する方法、すなわち信販会社に「私に支払い義務が無いのを確認して下さい」と訴えるわけです。但し、残額が少ないのに弁護士に依頼しても費用倒れになる可能性も有りますので、実際は被害者の会が結成されれば、一括で訴訟に持ち込んだ方が費用は安くてすみますが、現段階で結成されておらず、損害のパターンがそれぞれ違いますので難しいです。。

次に、請求を受けた段階で「書留内容証明郵便」で支払わない正当性を主張します。この場合も、個人で判例を調べて論理的に書くことは素人には無理なので、弁護士か司法書士に依頼して書いてもらいます。そして、相手方の出方を待ちます。いずれ、訴訟を相手方から提起してきますので、その段階で弁護士に依頼いたします。

こちらから訴を提起しても、相手方から提起されても結局は裁判になりますが、必ずしも勝てるとは限りません。弁護士の理論的な組み立ても必要ですし、裁判官の考え方も大きく影響いたします。同じ事案でも裁判官によって判断が分かれることは理解しておいてください。流れとしては、加盟店と信販会社は共同責任を負うという方向にある他、信販会社の加盟店管理の責任を問う傾向にはあります。

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現金で支払った場合

現金で支払った場合、及びクレジットで支払った場合で「支払い停止の抗弁書」を提出した後の流れは次の様になってくると思われます。

経営陣が財産を隠匿している可能性も有りますので、「エターナルラビリンス被害者の会」が結成される可能性が有りますので、情報収集に努めて下さい。クレジット会社に「支払い停止の抗弁書」を送付しても確実に債務が免除になるかは断定できません。その場合、「被害者の会」がクレジット会社に対して、債務不存在の確認訴訟を提起することも考えられますので、「被害者の会」が結成されたら動向は注視しておいた方が良いです。

「ココ山岡」の事案では、被害者の会が起こした裁判で①購入商品をクレジット会社に引き渡す。②クレジットの債務を免除する。③被害者のココ山岡に対する債権をクレジット会社に譲渡する、などの内容で和解が成立したようです。(主要項目) ただ、被害者の会に入っていない方は、この和解の対象になっていませんので個別にクレジット会社と交渉したものと思われます。

場合によっては、「被害者の会」が結成されたら入って対処した方が、個人で対応するよりも、時間的にも、効率の面、専門性からも良いかもしれません。

なお、エタラビの破産管財人から破産手続きが開始された旨の通知書と債権届出書が送付されてきますので、債権額等を記入して返送して下さい。

その後、債権者集会が行われますが、債権者の数や種類及び資産状況によって違ってきますが、1回目の債権者集会まで数カ月掛かると思われます。再建の可能性があれば民事再生の申し立てを行うはずですので、破産の申し立てを行ったということは、まず配当は無いと考えておいた方がいいでしょう。

疑問点

多少気になる点としては、破産管財人である弁護士は、「破産手続開始の申立前にほとんどの資産を株式会社ミュゼプラチナムに譲渡済みであり、その対価については運転資金としてそのほとんどが費消されていることから、見るべき資産はほとんどなく、現時点においては一般債権者への配当は極めて困難な見通しです。」と述べています。

しかし、全国に70店舗に近い数の店舗を構えていたわけで、一般には事業用賃貸物件の場合は賃料の10~15ヶ月分に相当する保証金を賃貸人側から請求され預けています。今回のミュゼプラチナムとの譲渡契約の詳細は分かりませんので、確定的では有りませんが、一般には保証金及び引き継ぐ顧客の資産評価から、ミュゼプラチナムに生じるであろう負担分を差し引く形になっていると思われます。

そうすると、数億円はグロワール・ブリエ東京に渡ったと考えられますので「その対価については運転資金としてそのほとんどが費消されていることから、見るべき資産はほとんどなく・・・」という破産管財人の主張には疑問が残ります。

支払完了及び支払中のユーザーに対する特例措置

「グロワール・ブリエ東京」の事業については、RVH傘下の脱毛サロン大手ミュゼプラチナム(東京)が継承しています。しかし、事業の譲渡を受け承継しているもので、商法上の債権債務の一切を承継する合併等とは異なります。そのため、「グロワール・ブリエ東京」との契約に基づく解約金は支払われませんが、分割で代金を払っている利用者は一部のクレジット会社に限り継続してサービスを受けられます。現金で支払いを完了している場合は、ミュゼプラチナムに追加料金を支払えば、サービスの継続が可能です。優遇措置を受けるには、申込専用の0120-202-042に電話し、申込手続の予約をおこなったのち、当日に申込手続きをすることが必要です。

詳細情報は破産管財人のホームページにも記載

詳しくは、破産管財人のホームページ中「顧客向けQ&A」で確認出来ます。
解約に伴う返金、支払い停止の抗弁権に対する対応も記載されていますので、破産管財人のホームページは是非確認されることをお勧めいたします。

上述の破産管財人の説明の通り「ほとんどの資産を株式会社ミュゼプラチナムに譲渡済みであり、その対価については運転資金としてそのほとんどが費消されていることから、見るべき資産はほとんどなく・・・」が事実ならば、破産財団から「エタラビ」の利用者である債権者には資金の配当は無いものと考えられます。

追加情報

10月8日現在「被害者の会」が設立されたとの情報は確認できておりません。twitterで「エタラビ被害者の会」のハッシュタグとツィートがありますが、具体的な内容は記載されておりません。また、破産管財人のホームページ上に債権者集会の期日の記載は有りませんので債権者集会の予定は未定です。