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マイルドな珈琲を卵の殻を使って淹れる

苦みの無い珈琲

忘れられない学生時代の珈琲

今でも忘れられない珈琲の味があります。学生時代に3年間略毎日通った喫茶店の珈琲です。その珈琲はネルドリップで淹れた深いコクのある珈琲なのですが、コクがあるにも拘わらず、苦みやえぐ味等の雑味が無くマイルドで美味しい珈琲で少し冷えても十分味わえる珈琲です。

珈琲豆販売業者の指導で卵の殻を珈琲粉に混ぜる

その喫茶店では、珈琲を淹れるときに卵の殻3個を手で潰して珈琲豆に混ぜていました。どうして、卵の殻を混ぜるのか聞いたところ、神戸に本社がある珈琲豆販売業者のE社から仕入れているが、その会社の指導で卵の殻を入れているとのことで、その為苦み等の雑味が無い珈琲になるとのことでした。

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珈琲豆販売業者は指導の事実を否定

学校卒業後に、E社は一つのエリアに1店しか珈琲豆を販売しない方針と聞いていたため、どうしてもE社の豆を使っている喫茶店でコーヒーを飲みたくて、メールで問い合わせをしました。ところが返ってきた返事は、「弊社では、過去も現在もその様な指導を販売先に行ったことは御座いません。お間違いではないでしょうか。」というものでした。そうであれば、学生時代に通っていた喫茶店を担当していたE社の担当者が自分の知識で指導していたのかもしれません。

自分で珈琲を淹れるときに時々卵の殻を混ぜてみましたが、深いコクは出ないものの苦みの無い美味しい珈琲を楽しむことが出来ています。最初、卵の殻を混ぜた珈琲豆の粉とそうでないのを二種類淹れて比較しましたが、確実に味の違いが感じられましたので、家族や友人に淹れてあげると、口々に「美味しい」と言われますので紹介いたします。

深いコクのある珈琲は、豆の種類や焙煎の影響も考えられますので同じ味は出せないのかもしれません。

えぐ味・苦みの無い卵の殻を使った珈琲の淹れ方

手順

  1. きれいに洗った卵の殻を大きめに潰したあと、内側にある卵殻膜(半透膜)を剥がします。(喫茶店では剥がしていませんでした)
    卵の殻の目安は、3杯までは1個で十分です。
  2. 次に、すり鉢とすりこぎ棒で小さく砕きます。(粉末にする必要はありません)
  3. ペーパードリツプ式の場合は、卵の殻は下から1/3~1/2のところに入れて下さい。サイフォン式の場合は、珈琲粉の上でも大丈夫です。

注意

卵の殻を砕くときは怪我をしないようにすり鉢・すりこぎ棒またはスプーンの裏を使って作業して下さい。
基本的な淹れ方は、それぞれの器具の使用方法に基づいて行って下さい。
なお、水出し珈琲には効果はありません。

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えぐ味・苦み等の雑味が無くなる理由

熱湯によるシュウ酸の溶解

卵の殻を入れて、珈琲の苦みやえぐ味等の雑味が無くなり、マイルドな味になるのは次の理由によると考えられます。

珈琲の雑味の原因は、豆の種類、焙煎の時間、淹れ方にも依りますが、珈琲豆にシュウ酸が含まれいていることが影響しています。シュウ酸は、温度が高くなると溶解度が急激に増しますので、ドリップペーパー式で珈琲を淹れるときの95℃程度になりますとシュウ酸が溶け出す量が非常に多くなります。(下表参照)

温度 20℃ 30℃ 40℃ 50℃ 60℃ 70℃ 80℃ 90℃
溶解度 13.3 19.9 30.1 62.1 118 168

wikipediaより

卵の殻を混ぜるとシュウ酸カルシウムに変化して雑味が消える

この溶け出したシュウ酸が卵の殻に含まれるカルシウムと化合し、シュウ酸カルシウムとなり雑味を無くすものと考えられます。但し、シュウ酸カルシウムは灼熱感が感じられますので珈琲を飲んだときにピリピリとより熱く感じられるのはこのためです。なお、シュウ酸カルシウムは劇物に分類されますが、人体に害を与えるほどの量は生成されません。

シュウ酸の健康への影響

また、シュウ酸及びシュウ酸カルシウムは尿路結石の原因物質の一つですが、シュウ酸のまま摂取するよりもシュウ酸カルシウムの方が腸で吸収される量が大幅に少なくなります。結石の発生を減らすためには、生乳を入れることでもシュウ酸カルシウムの生成が促されますので効果があります。なお、特に関西で多用されているコーヒーフレッシュは、植物性油脂食品ですのでシュウ酸カルシウムは生成されません。

※コーヒーに含まれるシュウ酸の量では、尿路結石はできない、とする意見も有ります。