安倍首相と加計学園グループとの不適切な関係疑惑ー第二弾
目次
安倍首相に加計学園グループ大学の誘致に伴う新たな疑惑浮上
加計学園疑獄に発展すれば戦後最大の疑獄事件?
既報の通り、安倍首相と40年来の親友である加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園グループの岡山理科大学が愛媛県今治市に獣医学科を新設するに伴う不自然な誘致疑惑の他に、新たに兵庫県南あわじ市への同グループの吉備国際大学の設置に関して疑惑が報じられています。「週刊現代」の2017年3月25日・4月1日合併号が報じています。
岡山理科大学獣医学科及び吉備国際大学いずれの設置計画でも数十億円から百数十億円が無償で提供されるなど森友学園問題とは桁の違う疑惑の発覚です。さらに、九州保健福祉大学の誘致でも90億円の補助がなされています。
特定の教育機関にこれだけの便宜が供与されることは常識的には絶対ありえず、大型疑獄事件「加計学園疑獄」に発展する可能性があります。「森友学園問題」など取るに足りない案件とさえ感じさせられます。
吉備国際大学誘致の不思議な経緯
舞台は、兵庫県南あわじ市の郊外で小高い丘の上。もともと兵庫県立志知高校があった場所で、生徒数の減少に伴い2009年に市内の別な高校と統合されたのと同時に廃校になっています。その後、南あわじ市の担当者が、社長が南あわじ市出身で同市に工場建設の実績があるパチンコ機器メーカー(本社:大阪府)に「産業誘致を行いたい」と誘致を打診したようです。メーカー側としても、「跡地を買って、工場か倉庫を建設したい」とこれに応じる姿勢を示しました。
その後、メーカー側と南あわじ市の担当者は、20回程度相談・下交渉を行ったと、メーカー側の担当者が話しています。南あわじ市とは、税収と雇用の確保の観点から相互に目標も確認するところまで進んでいたようです。但し、購入金額には隔たりがあったようで、メーカー側としては、上物を撤去して工事を行うと五億円程度掛かるので、土地・建物を合わせた評価額は1憶円からで如何でしょう、と希望を伝えていました。
高校の跡地は、運動場を含めて約5.5ヘクタールで、評価額は、土地約10億円、建物約20億円、その他設備・植栽を含めた合計は略30億円であったので、メーカーの買付申し出額の1憶円も決して高い金額では無かったようです。
但し、評価額の算定は、資産として評価する場合と、担保として評価する場合、販売を前提に評価する場合では違ってきます。売却の場合は、更地評価が原則となることは往々にしてあることです。
不自然な大学誘致
突然の計画変更
ところが、2011年10月に神戸新聞が突然、「南あわじ・志知高校跡地の大学誘致 吉備国際大を候補に」と報じたのです。
当時、南あわじ市とパチンコ機器メーカーとは交渉が継続されている中での報道でした。南あわじ市の担当者からは、事前に何らの話も無く、報道直後に電話で「今回の件はなかったことにしてください」と連絡があったっきりのようです。
無償での貸与・譲渡
その後、2012年に建物全てをタダで、安倍総理の親友加計孝太郎氏がトップを務める学校法人加計学園グループの順正学園系列の吉備国際大学が手に入れたのです。
加計学園グループは、大別すると安倍首相の親友加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園系列と加計孝太郎氏の姉美也子女史が理事長を務める順正学園系列に分けられ、吉備国際大学は学校法人順正学園が経営する大学で、主なキャンパスは山城で有名な備中松山城がある岡山県高梁市にあります。
市の関係者の話を総合すると、とんでもない事実が判明してきます。元々県立高校であったことからも一介の地方の市長が筋書きを書けるような内容では有り得ません。
トップダウンの計画指示
当時の南あわじ市の市長中田勝久と順正学園は、2011年の春頃から水面下で交渉を始めていたそうです。そして、トップダウンで指示が下されたようです。その仰天すべき内容は次の通りです。
土地は無償で順正学園に貸与し、建物と設備は無償譲渡した上に、市と共同で校舎を整備する、という内容で、費用20億円のうち13億円強をあわじ市がが負担することになっています。さらに、大学を卒業して南あわじ市に貢献するかどうかもわからないのに、住民票を移しただけで学生1人当たり30万円まで補助金を出すという石油輸出国並みの仰天すべき厚遇です。
さらに「教育・研究設備」に5億円も割かれています。そのような内容でも、市議会を圧倒的数で制する自民党は、市長の言いなりの議員ばかりで、すんなり可決してしまったというわけです。
南あわじ市の当時の自主財源は86億円で、うち市税収入はおよそ60億円です。自主財源よりも依存財源の方が多い自治体であり、大学誘致のために土地・建物を無償で提供するだけでなく、税収の6分の1以上の補助金を提供するのですから常識では考えられないことです。一方で地方交付税と国庫負担金が大きく増加しているという現実があります。
短期間での大学設置認可
さらに、不思議なことがあります。工事内容について資料の開示請求をしても、出てこないばかりか、補助金を出しているにも関わらず明細も公開されていないということです。
2012年10月に、物件の返還を求める監査請求が市民から兵庫県に出されましたが、棄却されています。新聞記事が出てから異例のわずか1年半後の’13年4月には吉備国際大学南あわじ志知キャンパスがオープンしています。
安倍晋三氏の再登板と期間が一致
この期間は、2012年9月26日に安倍晋三氏が自民党総裁に再就任、同12月16日に総理大臣に就任し再び権力を手中に収めた時期と不思議と一致します。
安倍首相が関与しているかは不透明ながらも、どう解釈しても政治案件で便宜供与が無いと納得出来ない事案だけに徹底した解明が求められます。
今後、後追い報道が過熱し、安倍首相の過去のスケジュールと吉備国際大学の設置が時系列で照合されれば新しい事実も出てくるものと思われます。
安倍首相と加計孝太郎氏との関係は既報の通りですが、安倍首相と加計氏は、第二次安倍政権発足以降、少なくともゴルフを4回プレーし、食事も10回共にしているようです。そのうち3回は昭恵夫人も同席しています。さらに、昭恵夫人は加計学園の運営する神戸市の保育施設「御影インターナショナルこども園」の名誉園長に就任しています。
終息のめどが立たない加計学園疑惑
加計学園をめぐる疑惑は、本件の他既報の岡山理科大学獣医学科新設疑惑の他、宮崎県延岡市の九州保健福祉大学設立に関しても90億円の補助金が支出されている等の不自然な金銭の移動があります。教育という聖域に巣食う守銭奴が暗躍しているとすれば、教育者という仮面をかぶった偽善者です。
しかし、豊中市の森友学園敷地の隣接地にある大阪音楽大学の敷地もほとんど補助金で賄われていて、支出は2,000万円のみということですが、これが税金の正しい使い方なのでしょうか?
「週刊現代」の2017年3月25日・4月1日合併号より抜粋し加筆・修正