最近増加傾向の散骨

カズラ島全景

多様化する葬儀と葬送

散骨と呼ばれる葬送の方法が、近年注目を浴びるようになりました。葬儀の多様化に伴い、葬儀そのものが古来からの固定概念にとらわれず様々な形で行われるようになり、周囲も必ずしもしきたりに沿った葬儀を行わなくても反対する人も少なくなりました。

葬儀の最後の儀式である葬送についても、墓地に埋葬する方法から自然葬の一つである散骨まで幅広く行われるようになっています。

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散骨を巡る法律の解釈と慣習による嫌悪感

背景には、散骨に対して厳密な規制を行う法律が無かったものの、刑法190条の死体損壊等のうち「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し云々」の遺骨を遺棄する行為に該当するのではないか、という懸念と、墓地埋葬法の「・・・焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に行ってはならない」とする条文に加えて、慣習及び嫌悪感から散骨を否定してきた歴史がありましたが、1991年にNPO法人「葬送の自由をすすめる会」が発足し、同年10月に三浦半島沖、相模灘中央部で初めての海上散骨を実施いたしました。

法務省の解釈により散骨が解禁

その際の法務省刑事局の見解は、「葬送を目的として、個人が節度をもって実施する分には遺棄罪にはならない」であったといわれています。また、厚生省は、散骨が墓地埋葬法第4条「墓地以外への遺骨埋蔵禁止」違反に当たるかどうかの質問に対して、「散骨は対象としていないので規制の対象にはならない」と非公式ながら見解を示した、といわれています。法務省と厚生省の見解はいずれも公式見解であるにも関わらず明文化されていませんが、これ以降、散骨か認知され普及が進みました。

負担が重い墓地購入・維持費

また、墓地を購入すれば墓地と墓石の購入で100~300万円程度掛かります。永代使用料と云う名目になっていますが、中には50年経ったら再び永代使用料を払わないといけないところも有ります。さらに、管理料や清掃料の名目で年間数万円を支払うことになりますが、散骨の場合は1回数万円から数十万円のみで終わりですので遺族や子孫の負担が少なくなることも一因です。

自然葬の種類

自然葬と云われる葬送には三種類の方法があります。

陸上散骨

陸上散骨は、粉骨した遺骨を陸上に撒く方法ですが、個人が節度をもって実施する必要がありますので、自分の土地以外の場所、水源や取水口の近く、公共施設の近く、田畑の近くは避ける必要があります。

海上散骨

海洋散骨も陸上散骨と同様に、粉骨した遺骨を海上で撒く散骨の方法です。 散骨と同時に花やお酒などを流すのは問題ありませんが、海洋汚染につながる食品等は控えるべきです。

樹木葬

樹木葬とは、墓地の一画の樹木や花木の地下や周りに遺骨を埋める葬法です。都営小平霊園が樹木葬を行うということで一時話題になりました。一般に、腐敗しない骨壺は使用せず直接土中に埋蔵し、植えられた樹木が墓標の役割を果たします。樹木葬は、散骨と違い墓地で無ければ墓地埋葬法第4条に違反いたします。

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国内で唯一の陸上散骨可能な島

散骨島「カズラ島」

海上散骨は全国にいくつかあります。東京湾にいたってはディズニーランドのすぐ南側の海域でさえ海上散骨が行われています。

一方、陸上で一般の人が散骨が出来る場所としては、隠岐群島のカズラ島があります。島全体が散骨の対象で、「葬送の島」です。散骨専用の島は、日本ではカズラ島を除いて他にはありません。カズラ島は、隠岐群島の4つの有人島のうちのひとつ島前と呼ばれる中ノ島のすぐ近くにあります。島名は、つる植物のカズラに覆われているところから名づけられている。面積は、約2,650㎡の小島です。

地元自治体も認める陸上散骨の地

隠岐は流刑の地として歴史にもよく登場する有名な島ですが、大山隠岐国立公園に含まれ景色の美しいところです。カズラ島は、大山隠岐国立公園の第一種特別地域に指定されており、一切の建築物、及び構築物は認められない地域ですから、将来に渡って自然が残る無人島としての存在が約束されています。このような環境で静かに土に還ることが出来ます。カズラ島の散骨場化については、漁民等の一部に風評被害を恐れて反対があったものの沈静化し、隠岐郡海士町の町長、町議会でもカズラ島を散骨島にすることが諮られ、合意に至っているといわれます。

カズラ島での散骨の方法

散骨の手順

カズラ島での散骨方法は次の2通りです。
「施主散骨」と云って、遺族の方が直接現地に赴き、散骨する方法と「委託散骨」と呼ばれる、運営業者が遺骨を預かり散骨する方法です。

運営会社

カズラ島で散骨を手掛けているのは、東京都板橋区の火葬場、戸田葬祭場のグループ会社で、株式会社カズラです。