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空売りファンドのリポートの概要と動向

商社の画像

グラウカスリポートで不正会計を指摘

2016年7月27日、アメリカの空売りファンド「グラウカス・リサーチ・グループ」からリポートで3点の不正会計を指摘され、売りポジションを行使されたと報じられた伊藤忠商事ですが、リポート発表後は一時10%下落し年初来最安値を付けました。

対象の不正会計は3点

グラウカスのリポートで指摘された3点は、伊藤忠商事の以下の3社への出資・投資に伴う会計処理を問題とするものです。コロンビアでの炭鉱事業の持ち分について、適切でない区分変更によって1531億円相当の減損損失を回避したとする点。中国国営企業の中国中信集団傘下企業の利益を持ち分法適用関連会社として連結会計に取り込んだ点。中国食品・流通会社の頂新に関する持ち分の区分変更に伴う特別利益発生の時期を問題視しています。

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国内の証券アナリストは伊藤忠商事のリリースに好感

この空売りファンドの上記リポート内容については、投資アドバイザーや証券アナリストによって意見が分かれるところですが、一般的には伊藤忠商事のリリースに好感を持っているようです。

一方で、グラウカスのリポートで指摘している3社の会計処理について、「懸念していたところであり、それほど違和感はない。解釈の問題で、不正とまで言えるかどうかは疑問だ」と弱冠懸念を表明するアナリストもいました。

伊藤忠商事の株価は業績を評価

空売りファンドのリポートから8ヶ月を経過していますが、伊藤忠商事の業績を見据え株価は上がり続け3月に入って1,600円を超えています。

グラウカスが実際に空売りポジションを保有していれば大きな損失を抱えていることになります。
しかし、2015年度は、三菱商事や三井物産が巨額の減損損失を計上し不調だったにも関わらず、共産圏との取引に強い丸紅と伊藤忠商事が好調で、伊藤忠商事に至っては、最終利益で商社のトップに立ちました。

伊藤忠商事の懸念材料

共産圏に強い伊藤忠商事の中興の祖は誓約引揚者?

ところで、伊藤忠商事は、元々共産圏を得意とする商社ですが、発端は伊藤忠商事の元会長の瀬島龍三が誓約引揚者(元内閣情報調査室の佐々淳行氏談)で有ったことと関係していると思われます。その後、ソビエトの崩壊とともに共産圏とのパイプを基にコネクトを中国にシフトしたと考えられます。

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東芝機械ココム違反事件では主導的役割の疑い

昭和62年の東芝機械ココム違反事件では、東芝と伊藤忠商事がダミー会社の和光交易を介して不正輸出を行っています。当時の東芝にはソ連側に和光交易を売り込む人間関係や影響力はなく、ソ連側の東芝機械と和光交易受け入れには伊藤忠商事が大きな役割を果たしたと考えられています。

瀬島から続く共産圏との強いパイプは脈々と引き継がれ、丹羽宇一郎(後に中国大使に就任)の時代から再び活発になり現在も続いています。

賄賂大国中国との取引

丹羽宇一郎らは、複数の中国政府要人に多額の献金を行なっていた事実があります。これは日本から中国へのODAによるプロジェクトを受注するための賄賂であった、とされており、中でも、丹羽が李鵬元首相の息子に対して数十億円規模の献金を行っていて、大阪国税局の摘発を受けていたと指摘されています。賄賂大国中国では、賄賂なしに事業は成り立たないと言われており、伊藤忠商事が賄賂なしに事業の拡大に成功しているとは考えられません。

伊藤忠商事の中国との不適切な関係が発端となって、将来伊藤忠商事が大きく信用を失墜する可能性も考えられます。中国は、軍隊から共産党まで派閥力学で動いており、今までのパイプがそのまま通用するとは限らず、コネクションが現在の太子党一派に通用し続けられるかは不透明です。
また、前の献金の状況を知っていれば、次の世代はより高額の献金を要求してくるのが悪人の常であり、高額で多方面にばら撒けば発覚するのも早まるかもしれません。

東芝機械ココム違反事件の一方の当事者の「東芝」は、現在存続が危ぶまれ解体の危機にあります。

後半の一部は「正論」から出典しています