相撲風景日本相撲協会の理事長選挙がおこなわれる平成28年3月28日まて残り10日程になりました。日本相撲協会の理事長選挙は、大相撲春場所(大阪場所)千秋楽の翌日に開かれる理事会で、外部理事を含めた13人の理事の互選によって選出されます。既に、初場所後に理事選挙がおこなわれ10人の理事候補は決まっていますが、情勢は未だ混沌としています。

今回の理事長選挙は、改革派を自任し理事長に意欲を燃やす貴乃花親方と昨年12月の理事会で就任したばかりの現理事長の八角親方との一騎打ちになると思われています。

初場所後の理事候補選挙後の情勢については、こちらのページでご確認して下さい。

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理事候補選挙の結果では、貴乃花親方を支持すると思われる伊勢ヶ浜親方と山響親方が選挙前の予想に反して10票を獲得して当選する一方、八角親方と同じ高砂一門で八角親方に一票を投じると思われていた九重親方が、支持票を集めることが出来ず失意の立候補断念。さらに、八角親方を支持すると思われた高島親方が落選する波乱がありました。

ここにきて、外部から事件性を窺わせる様な物騒な事案も発生しています。日本相撲協会の外部理事に対して「八角親方に投票しないと殺すぞ」との殺害予告が有ったことが判明しました。予告を行ったのは、右翼を名乗る人物で、脅迫された外部理事は靖国神社の宮司でもある徳川康久理事です。また、外部理事や八角親方に批判的な親方からは、八角親方が理事長に就任して以降、現在の10名近くの顧問弁護士や公認会計士の他に八角理事長が懇意にしている弁護士等と新たに顧問契約を行う等日本相撲協会を私物化しているとの批判もあるようです。このような声が漏れ聞こえてくることから外部理事3名のうち2名は貴乃花親方に投票するのではないかと思われます。

右翼によると思われる脅迫については、八角親方のイメージダウンに直接繋がるとは限りません。日頃から右翼と付き合いがあるとすれば、印象は悪くなりますが、身辺が綺麗であれば逆にイメージダウンを狙った貴乃花親方側の策と勘繰られることも有り得ます。

現在の情勢は、外部理事3名を含む13名の理事(候補)のうち、貴乃花親方が、外部理事2票のほか、貴乃花親方、出羽海一門の山響親方、伊勢ヶ浜一門の伊勢ヶ浜親方の合計5票、八角親方が八角親方、二所ノ関一門の二所ノ関親方、尾車親方、時津風一門の鏡山親方の4票で、残り4票が現段階でははっきりしません。なお、鏡山親方自身は、八角親方支持と言われていますが、一門内に貴乃花親方に共鳴する若手親方も多く、鏡山親方も「みんなと相談して決める」と話しており貴乃花親方支持に回る可能性も残っています。

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いずれにしても、貴乃花親方が僅かに優勢であると思われますが、最大一門の出羽海一門の残り3票の行方に左右されます。出羽海一門は、北の潮前理事長の「次の理事長は貴乃花」との遺言があるといわれていますが、北の潮前理事長の死後、出羽海一門は求心力が低下しているといわれ、一枚岩で対応できるか疑問です。

ところで、貴乃花親方のいうところの改革とはどういったことなのでしょうか?
貴乃花親方は、相撲の伝統は守っていかなければいけないと言っていますので、根こそぎ今風に組織改革をしようと考えているわけではないようです。一つは、集客や宣伝を外部の組織と共同して行うということ。

そして、もっとも重要なのが、行司、床山、呼び出しといった相撲を支える人達の待遇改善です。行司、床山、呼び出しの給料は、14,000~500,000円(手当除く)で平均月収は20万円といわれています。部屋付きですので衣食住に不自由することは少ないでしょうが、好きでないと出来ない待遇で、いわゆるブラック企業に近い状況です。横綱になると懸賞だけで年間1億円を超えるわけですから、待遇に差が有りすぎます。

いずれ、行司、床山、呼び出しが不足して行司は審判員、呼び出しは場内アナウンスということになれば相撲は廃れていきます。待遇改善によって相撲に関わる人の生活を保障し、働き街のある職場を提供しようということの様です。

一方、批判的な勢力からは何を目指しているのか分からない、外部から動かされているのではないか、といった憶測が有ります。