クローズアップ現代視聴者目線の鋭い視点と剃刀のような切り口、適格な質問で定評のNHKの報道情報番組の「クローズアップ現代」の国谷裕子キャスターの降板が発表されました。国谷キャスターは、アメリカのブラウン大学卒で流暢な英語を操り、外国人へのインタビューでは、同時通訳並みのスピードで分かり易い日本語にして説明していました。

国谷キャスターの降板については、2014年7月3日の管官房長官が出演した際に、集団的自衛権について事前になかった突っ込んだ質問をしたことから管官房長官が激怒しNHKにクレームを入れたことを受け、2015年2月で「クローズアップ現代」は、打ち切り、同時に国谷キャスターは降板するとの報道が流されました。写真週刊誌によると、番組終了後に管官房長官の秘書官がクレームを入れ、さらにその後、安倍官邸から強い抗議が入ったといわれています。(管官房長官は記者会見でこれを否定)

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ところが、NHK側は、噂を否定し番組を続投した経緯があります。NHK側としては、官邸からのクレームを週刊誌が報じたことにより、国民の周知することになり打ち切りを延期せざるを得なかったとも考えられます。2015年の後半に再び国谷キャスターの降板の噂が流れ、現場サイドで国谷キャスターに鈴をつけられる人がいなくて困っているとの情報が有りましたが、今回の降板の経緯を見てみますと全く逆だったようです。

漏れ聞こえてくる情報では、NHKは、2015年10月の役員を含めた放送総局幹部による2016年度の編成会議で国谷さんの降板を決定し、12月中旬以降に、黄木紀之編成局長がクローズアップ現代を指揮する大型企画開発センターの角センター長、2人の編集責任者に国谷さんの降板を告げたようです。現場サイドでは、国谷さん自身が幅広い支持層を持っていることから、引き続き国谷さんの起用を強く要請した模様ですが、上部の判断を覆すには至らなかったようです。

国谷さんは、NHKの社員では無く、1年契約のキャスターですから番組を降板させるのは契約を更新しなければ良いわけで、対外的にも「期間満了と人心一新により降板いただくことになりました」と言えば良く比較的簡単です。ただ、一旦降板させたら再採用するのは非常に難しくなってきますので、新番組の視聴率低下は番組自体の打ち切りへと進む可能性があります。

「クローズアップ現代」は、4月以降午後10時から7人の女性アナウンサーが交代で受け持ち、番組名も「クローズアップ現代+」として放送されますが、正直7人のアナウンサーの中で井上あさひアナウンサーを除く面々は、番組カラーと合わず荷が重いようにも感じられます。

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さて、国谷さんの他にもNHKの「ニュースウォッチ9」の大越健介氏、TBSではNEWS23のアンカ―岸井 成格氏、報道ステーションの古館伊知郎キャスターと政権に批判的な報道をした人が降板する事態になっていますが、如何なものでしょう。一連の降板が政治的圧力によってなされているか、報道機関の上層部が政権の意を汲んで降板させているとすれば大変なことのように感じられます。

いまさら、日本で共産主義や社会主義が支持されることは有り得ないわけで、多少の政権批判は諌言として容認する必要があるのではないでしょうか。朝日新聞の様に国益を損なう恣意的な報道機関は必要ないかもしれませんが、広く社会から反対意見や福島・宮城県で起こっている政府の理不尽な政策を拾う機関が無いと国民が判断を誤る可能性があります。仲の良い友達同士でグループをつくり、煙たい人を寄せ付けないというのは、いずれ判断を誤ることになるかもしれません。

ところで、国谷さんは、相場師で東洋紡、日清紡、兼松の創業と帝塚山学院の設立に関与した実業家田附政次郎の血脈で、実父は三和銀行の専務だった方です。また、母方の傍系に伊藤忠商事や丸紅の創業者の伊藤忠兵偉がいます。出身大学はアメリカのブラウン大学出の才女です。なお、「クローズアップ現代」の出演者に対しては、絶対に「宜しくお願いします」といわないエピソードは有名です。