磁石の誤飲で消化器官に穴があく(穿孔)重大事故が多発傾向
目次
新しい子供の事故の脅威―磁石の誤飲―
数が多い強力な磁石を使ったおもちゃ
子供用の磁石を使ったおもちゃ(玩具)は数多く発売されており対象年齢も積み木タイプの物は1歳からです。さらに、鉄粉と磁石を使ったお絵描き帳、魚釣りゲーム、棒状の磁石を幾何学的に繋げる物等多種に及んでいます。また、磁力は以前の物に比べて格段に強力になっており、直径数センチでもくっついたら取り外しが出来ないほど強力です。
子供の好奇心の対象物は何にでもまず口へ入れる
ところで、子供はなんでも口に入れたがります。一説には、本能的に緑の物は口に入れないと言われていますが、必ずしもそうとは限りません。もちろん、食べられる物がどうかの判断は出来ませんから手が届く範囲にあるものは、ちょっと目を離した隙に口に入れてしまいます。煙草は苦いのですぐに吐き出して食べないといわれていますが、万一吸殻を食べたり(煙草を水に浸したものを飲んだ場合はさらに注意)、ゴキブリ退治用のホウ酸団子、化粧品、殺虫剤を食べたり飲んだりした場合はすぐに病院に行って胃の洗浄をしたり、中毒症状が出た場合は投薬すれば大事に至ることは少ないようです。
強力な磁石とその脅威
しかし、磁石を飲み込んだ場合は大事故になる場合があります。消化されないので、いずれ排便と同時に出てくるだろうと考えるのは間違いです。磁石を飲み込んだ場合、磁石と磁石または磁石と金属が胃壁や腸壁を挟んでくっついてしまい動かなくなりなります。しかも、磁石の力が強いので血流が阻害されて細胞が壊死したり、磁石が胃壁や腸壁にめり込んで穴をあける(穿孔)ことが有ります。まだ、穿孔が無く胃にある場合は取り除く方法も有りますが、穿孔が生じたり部位が腸の場合は開腹手術で取り出すことになります。
3歳以下に多い磁石の誤飲
磁石を飲み込んだ例は、おもちゃ以外では、1歳7カ月の幼児が肩こり治療用の磁石を飲み込んだ例が報告されています。また、アメリカでは磁石を飲み込んだことによる死亡例も報告されています。異物の誤飲は3歳以下の幼児が90%で、時間帯は午前中と夕方から9時までの母親が忙しい時間帯に集中しています。
多い子供の事故
誤飲以外の注意
磁石は誤飲の他次の様な危険性も有りますので注意が必要です。
■金属アレルギーがある方は、触ると皮膚が赤く腫れたり、荒れたりします。
■磁石の成分は水に溶ける場合があり、成分が溶けた水を飲むと腹痛等の症状が出る場合があります。
■ペースメーカー等の精密医療機器に近づけると誤作動を起こす可能性がありますので、同居している方の中に装着している方がいる場合は近づけないようにします。
■磁石は強度が弱く容易に破損するものがあり、破損した箇所で怪我を刈る場合があります。
電池の誤飲
磁石と同様に誤飲により極めて危険なのが電池です。アルカリ電池は、誤飲して胃に達すると放電し胃酸によって金属が溶けて中のアルカリ性の溶液が溶けだしてきて、胃壁を損傷します。また、リチウム電池は長時間放電し電気分解によりマイナス側にアルカリ性の物質を作り、消化器官を損傷します。電池は絶対に子供の手が届くところには置かないようにしましょう。兄弟がいる場合は、上の子供は理解が有っても、たまたまテーブルの上に置いていたために下の子供が食べてしまうということも有りますので、とにかく子供には触らせない方が賢明です。