偏頭痛の原因と症状

片頭痛の女性再発を繰り返す偏頭痛

 一般に、片頭痛の中でも心臓の拍動に合わせて、ズキンズキンと脈打つような痛みが起こる場合は、症状も様々で原因や誘発因子も多く、「頭痛持ち」と言われるほど周期的に発症する傾向が有ります。

原因が特定されないことが多い病気

誘発因子により発症する病理生理学的メカニズムは、未だ十分に解明されていません。また、症状が出ている間は頭痛の他に、吐き気、嘔吐、光に対する過敏症状、音声恐怖症や不安に陥るものの数時間経つと嘘のように回復することから、自分でも病状を軽く考えるほか、病院で診察を受けても過小診断されたり、誤診されるケースが多く有ります。

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卵円孔開存症・心房中隔欠損症と片頭痛の関係

岡山大学で卵円孔開存症・心房中隔欠損症と片頭痛の因果関係が判明

その様な中、岡山大学病院循環器疾患集中治療部の赤木禎治准教授らのグループが、平成24 年から奇異性脳梗塞の再発予防を目的とした心房中隔欠損症や卵円孔開存のカテーテル治療を実施してきました。そして、これらの脳梗塞患者を調査したところ、38 人の内19 人が片頭痛を経験しており、カテーテル治療後に13人に片頭痛が消失し、5人に著明に改善していることが分かりました。

現在まで、カテーテル治療は脳梗塞を発症した患者の再発予防を目的として実施していましたが、今後、国内で初めてとなる脳梗塞の発症に関わらず、卵円孔が認められ片頭痛で困っている方に、卵円孔のカテーテル治療を実施することになりました。
手術は、2~3日の入院が必要なものの手術に要する時間は30~60分程度です。

卵円孔開存症・心房中隔欠損症とは卵円孔開存症

卵円孔は、左右の心房の間の壁の中央に開いている10ミリ程度開いている孔で、母親の胎内にいる間は肺呼吸をしていないため、卵円孔は胎児期に胎盤からの酸素を含んだ血液を右心房から左心房を経て全身へと循環させる非常に重要な働きをしますが、出産後は閉じられます。

これが閉鎖せずに残る場合があり、卵円孔開存となります。大人になっても閉鎖しない場合がみられ、成人の20%にもなるといわれていますが、一般に症状が無い場合が多く、通常は問題になりません。卵円孔開存症治療

但し、静脈にできた血栓が卵円孔を通過することで脳梗塞の原因になることが分かっている他、卵円孔開存が一過性脳虚血発作の原因になるとも言われています。

 

 

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片頭痛を持つ患者は脳梗塞の発症危険度が2倍

片頭痛との関連は静脈内の特殊な物質が肺を通過せずに脳動脈に達することではないかと推測されています。片頭痛を持つ患者は一般健常者と比べて、脳梗塞を約2 倍起こしやすいといわれ、前兆(キラキラした光が見える、眼前暗黒感、感覚異常など)のある片頭痛患者では、そのリスクがさらに高まり、このような前兆を持つ片頭痛の患者では卵円孔が開存している可能性があります。

胎内で心房中隔が形成される際に、なんらかの原因でそれが途中で止まってしまい、穴が残るのが、心房中隔欠損です。

卵円孔開存と関連が深い場合のカテーテル治療の効果

片頭痛にはさまざまな薬物療法や非薬物療法がおこなわれていますが、これらの治療による効果が十分とはいえず、日常生活に支障を片頭痛の治療効果来している方は少なくありません。片頭痛の原因は様々で多岐に渡っており、カテーテル治療がすべての人に効果があるもので有りませんが、片頭痛の原因が卵円孔開存と関連が深いと判断される場合には、この治療によって頭痛そのものが消失するなど、薬物治療とは別の新しい治療方法になることが期待されます。

治療費用の保険適用対象と自由診療

この治療手技は国内では脳梗塞を一度起こした場合のみ保険診療の対象となっており、実際の治療には国内未承認の卵円孔開存専用の閉鎖栓を使用しますので、自由診療として行われ、費用は約130 万円となります。

岡山大学病院循環器疾患集中治療部
赤木禎治准教授の報道発表資料
及び添付資料を抜粋参照