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自然治癒が不可能な場合の鼓膜再生は外科手術

鼓膜再生医療の画像外科手術が必要だった今までの鼓膜再生

鼓膜が中耳炎や外傷で破れた場合は、ほとんどの場合は自然治癒で回復いたしますが、場合によっては破れたままで穴が開いたまま塞がらないことが有ります。この場合は、慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎など、程度の重い中耳炎からの治癒と同様の鼓膜形成術や鼓室形成術といった外科的治療法によって耳の後ろを3~4cm程度切開したり、鼓膜の組織を採る必要がありました。

リスクが有った鼓膜再生手術

それでも、全て手術が成功して聴力が正常に回復するという保証は無く、人によっては手術に対する不安や恐怖を感じる方もいる他、入院や通院で負担を強要されていました。

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簡単な施術で鼓膜再生治療

鼓膜の自然治癒力を活かす方法

こうした中、北野病院(大阪市北区)耳鼻咽喉科・頭頸部外科主任部長で、金井病院(京都市)耳鼻咽喉科の金丸真一医師が、鼓膜は再生しやすいという特徴に着目して平成19年に開発した簡単な施術で鼓膜を再生させる新しい治療法が注目されています。長年に渡り鼓膜に穴が開いた状態だった高齢の患者でも再生し、聴力を回復した例もあるといいます。

新しい鼓膜再生療法の特徴

特徴は、
・処置は僅か10分程度で、入院及び頻繁な通院が必要ない。
・外科手術を行わず、皮膚切開や自己組織の採取が必要ないので手術に対する不安が無い。
・破れた鼓膜の穴の大きさや原因に関係なく鼓膜再生が可能。
・繰り返しの処置でも後遺症がなく鼓膜の再生が可能である。
・処置直後より聴力が回復する
・日常生活に支障が少なく、精神的・肉体的・時間的・経済的負担が少ない。
等のメリットがあります。

驚異的な速さで聴力が回復

治療方法は、鼓膜の穴の縁に傷をつけ、鼓膜のもとになる細胞を活性化させます。そして、栄養因子「b-FGF」を含ませたゼラチンスポンジで穴をふさぎます。次に、「フィブリン糊」でカバーして外部と遮断します。10分程度の施術直後から正常に近い聴力が回復するといいます。3週間後に糊をはがし、再生が不完全な場合は、これを何度か繰り返します。

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高い治癒力

金丸医師の統計では、破れた部位が狭い場合は3回以内に約95%の患者で完全に鼓膜が再生し、広範囲に穴が開いていた場合でも4回以内に約83%が成功し、聴力を回復したということです。

数十年間鼓膜に穴があいていても、治療のチャンスがなかったり、歳を採っているので今更と思っていたり、諦めていた方達も聴力を回復することで活発に外出することが増え、聞き直すことも少なくなるので会話が億劫になってしまうことも無くなります。

但し、鼓膜再生療法の施術には、耳だれがないこと、活動性の炎症がないこと、及び以前に鼓室形成などの手術を受けていないことなどの条件があるということです。

治療を行っている関西の二医療機関

現在治療を行っているのは、北野病院(大阪市北区)、金井病院(京都市)の他、先端医療センター病院(神戸市中央区)で治験を行っています。