慢性腰痛の原因と治療-脳の腰痛への恐怖心でさらに悪化ー
目次
一般的な腰痛の原因と慢性腰痛
骨の異常が無いのに起こる慢性腰痛
腰痛は、主に筋肉の異常、脊椎分離症や椎間板ヘルニア等の骨の異常により発症しますが、レントゲン、CTゃMRIなどの検査でも異常が見つからないのに、3ヶ月以上の長期に渡り激しい腰痛が続く慢性腰痛を発症することがあります。
慢性腰痛に潜む脳の異常
慢性腰痛が有る方は、腰の異常では無く脳に異常が有ることが最近の研究で分かりました。腰が痛いのに、どうして脳の病気なのか、と疑問に思うかもしれませんが、脳の背外側前頭前野(DLPFC)と呼ばれる部分の働きによるものだそうです。
腰痛を悪化の原因は腰痛への恐怖心
痛みは、体中にある神経が、皮膚、筋肉、骨及び内蔵等の異常や変化を感じ取り脳に伝達することで【痛みの回路】が作られ、脳が痛みとして認識し感じ取ります。体の異常が無くなっても【痛みの回路】がすぐに消滅するわけでは有りません。そこで、本来であれば脳の背外側前頭前野が活発に働き【痛みの回路】を鎮めるわけですが、背外側前頭前野の働きが弱くなっていると痛みを感じ続けているということらしいです。痛みを鎮める背外側前頭前野の働きが弱くなる原因は、痛みに対する恐怖心がストレスとなって活動を低下させているのだそうです。
腰痛に対する恐怖心の除去で治療
脳の持つ恐怖心の除去の方法と効果
そこで、慢性腰痛を治療するためには、この恐怖心を取り除くことで必要です。NHKの「ためしてガッテン」で紹介された方法ですと、本当は腰は痛くなく脳が痛みを感じているだけだという映像を毎日1回づつ10日間見てもらったところ、68人/175人に改善が見られたそうで、割合にすると38%にもなります。
さらに、改善が見られなかった108人のうち70人に簡単な、体を後ろに反らすだけの体操を2週間行ってもらったところ。45%の32人に改善が見られました。この方法は、体を反る行為が痛いと思っている脳に、実際に反らしたところ痛くないということを認識させて恐怖心を取り除くものです。
重度の腰痛でも認知行動療法で改善
さらに一歩進んだ有効な治療方法が【認知行動療法】です。日本では、まだまだこの治療法を行っている病院は少ないですが、オーストラリアでは3週間の入院で高い効果を上げている様子がNHKの番組で紹介されました。オーストラリアの病院で行われている認知行動療法は、毎日8時間のカウンセリングと運動を1時間ずつ繰り返すというもので、腰痛でほとんど歩けなかった女性が、3週間目には元気に歩いている姿が印象的でした。
治療上の注意
治療については、自己判断で行わず、医師の診断を受けて骨に異常が無いことを確認し、医師の指示に従って治療して下さい。素人判断で勝手に治療を行うと腰部の場合は重症化することが有ります。